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レビュー

シェイプ・オブ・ウォーター

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原題:The Shape of Water
製作年:2017年
製作国:アメリカ
配給:20世紀フォックス映画
上映時間:124分
映倫区分:R15+
監督:ギレルモ・デル・トロ
製作:ギレルモ・デル・トロ、J・マイルズ・デイル
原案:ギレルモ・デル・トロ
脚本:ギレルモ・デル・トロ、バネッサ・テイラー
撮影:ダン・ローストセン
美術:ポール・オースタベリー
衣装:ルイス・セケイラ
編集:シドニー・ウォリンスキー
音楽:アレクサンドル・デスプラ
視覚効果監修:デニス・ベラルディ
出演:
イライザ / サリー・ホーキンス
半魚人 / ダグ・ジョーンズ
ジャイルズ / リチャード・ジェンキンス
ゼルダ / オクタヴィア・スペンサー
ホフステトラー博士 / マイケル・スタールバーグ
ストリックランド / マイケル・シャノン

あらすじ:
1962年、冷戦下のアメリカ。政府の極秘研究所で清掃員として働く女性イライザは、研究所内に密かに運び込まれた不思議な生き物を目撃する。イライザはアマゾンで神のように崇拝されていたという“彼”にすっかり心を奪われ、こっそり会いに行くように。幼少期のトラウマで声が出せないイライザだったが、“彼”とのコミュニケーションに言葉は不要で、2人は少しずつ心を通わせていく。そんな矢先、イライザは“彼”が実験の犠牲になることを知る。(以上、映画.comより)

(※以下、ネタバレに配慮していません!)

クロサキ  : 今年一番の期待作、観てきたよ。
ペータくん : ギレルモ・デル・トロ監督の『シェイプ・オブ・ウォーター』。ヴェネチアで金獅子賞、アカデミー賞でも最多13部門にノミネートされています。デルトロ監督自身も「一番好きだ」と語っていますから、自他共に認める最高傑作と言っていいでしょうね。で、どうでした?

クロサキ  : 期待通りの素晴らしい映画だったよ……
ペータくん : その割には、なんか微妙にテンション低くないですか?

クロサキ  : いや、本当に素晴らしかったんだけど、一点だけ、どうしてもモヤモヤしてしまう箇所があって……
ペータくん : というと?

クロサキ  : 猫が食い殺されてしまうところ。
ペータくん : あなたホントに、(人間以外の)動物が殺される描写、苦手ですよね。

クロサキ  : だからウェス・アンダーソン映画って観る気が起きないんだよなぁ……まあ今回それはいいとして。
正確に言うと、猫が殺されてしまった後の、登場人物のリアクションにモヤモヤしてしまったんだよね。

ペータくん : 飼い主のジャイルズは「本能だから仕方がない」と言ってましたね。

クロサキ  : それはその通りだと思うよ。だから、猫を食い殺したからって『彼』を嫌いになったりはしない。観客としての俺はね。でもさ、ジャイルズにとってみれば、あの猫は同居人で家族だったんじゃないの? どれくらいの年数を共にしたかわからないけどさ。
ペータくん : でも、そこに至るまでのシーンを観る限り、ジャイルズやイライザがことさら猫を可愛がっている描写は無かったですよね。それぐらいドライな関係ってことだったんじゃないですか?

クロサキ  : それは確かにね。あの猫たちを飼っているのは「可愛いから」という理由じゃなくて、自身の孤独な身の上を癒すためだったのかも。
ペータくん : 猫という奔放な動物を飼うことによって。

クロサキ  : もしくは捨て猫で、行き場の無い者同士だったのかも。でも思うんだけど、あのシーンの意図って『彼』の非人間性を示すためのものなんじゃないの?だったら、ジャイルズと『彼』の間にある程度の距離が生まれた方が、作劇としても適当だと思うんだよね。「そいつを追い出せとは言わない。でも、この部屋には入れないでくれ」みたいな感じで。
ペータくん :じゃあ、ジャイルズと『彼』は和解しない方向で?

クロサキ  : いや「猫のことは許せないけれども、イライザと髪の毛に免じて、『彼』の前途には祝福を祈る」みたいな流れにする。もしくは「涙ながらに責めようとするんだけども『彼』に悪意が無いことはわかっているから、責められない」。自分の理想的なバランスとしてはこんな感じ。
ペータくん :要は、割り切りが早過ぎるんじゃないか?ってことですか。でも、殺害現場のあと狼狽はしてましたよ。口外無用の秘密、それも同居人の大切な人が出て行くのを目の前にして追うことができなかった。

クロサキ  : まあね。でもあれは自分も物理的に傷つけられたことが大きかったんじゃない? ペータくん : 大小の差は解りませんが、ジャイルズの傷が治るシーンがないと、ラストへの伏線が一つ消えちゃいますよ。
クロサキ  : あ、そっか。うーん……よくできてはいるんだよなぁ。やっぱり。それと「本能だから仕方がない」っていうあの台詞。あれはジャイルズの、自分自身のセクシャリティに対してのものでもあるよね。
ペータくん :だからあれは必要なシーンなんですよ。

クロサキ  :それは分かってるんだけどさぁ……でもやっぱりモヤモヤしてしまうんだよな。他生物の命を軽視しているような気がして。
ペータくん : そもそも、人間と同等の扱いを迫るべきではない気もしますが。

クロサキ  : 我ながらメンドくさいけど、しょうがない。でもデルトロ自身は猫好きだと思うよ。ヘルボーイに猫好き設定を加えてたぐらいだから。あと、重ねて言うけど、映画自体は本当に素晴らしかった! ……まあ、だからこそ、その一点が気になっちゃうんだけども。
ペータくん : 他は文句なしですか?

クロサキ  :うん、ほぼ。展開がやや強引というか唐突じゃないか?とか、『彼』がいる部屋に監視カメラついてないのはおかしくない?とか、通常の劇映画として観ると欠点になりかねないところもあるとは思うけど。
ペータくん : それらは欠点ではない?

クロサキ  :うん。まあ別にその辺りを指摘する人を「無粋だ」と言うつもりないけど、個人的には減点ポイントにはならなかった。「映像で見せる」ことを徹底している演技や美術が素晴らしかったし、なにより今作は「御伽噺」だから。
ペータくん : でも、生々しい描写も多いですよね。

クロサキ  : マイノリティが重要なモチーフだからね。本当の意味での「ありのまま」がテーマでもある。だから中年女性のイライザは自慰をするし、半魚人は飼い猫を食べる。
ペータくん : ゲイ、黒人女性、祖国に見放されたスパイ……監督の言う「The Others(非主流たち)」ですね。

クロサキ  :デルトロ自身もメキシコ人だから、アメリカではマイノリティ。それでいて、彼ら味方サイドにしても、一面的な描き方をしていないあたりが、本当に信用できるなと。
ペータくん : 「被害者」だからといって、聖人君子なわけではないと。

クロサキ  : もちろん、善人ではある。でもイライザなんか、良くも悪くも相当たくましい人だと思うよ。二人の最高のシチュエーションを作り出すために階下の映画館を雨漏りさせたりとか。ジャイルズへの懇願もかなり押しの強いものだったし。
ペータくん : 「恋は盲目」ってヤツですか。

クロサキ  :ロマンチストとエゴイストは裏表。この映画はそれをちゃんと描いていると思う。デルトロの描くファンタジーは常にリアルとの相克。今作が「最高傑作」と称されているのは、その相克が生み出す味わいやカタルシスが、今までで一番高い純度でスパークしているからじゃないかな。
怪奇と幻想と現実(時代性)が融合した圧巻の美術、全編に塗り込められた豊かな寓意性と含意、滑らかな話運び、たゆたうようなカメラワーク、魅力的な登場人物を体現した役者陣(特にサリー・ホーキンスは本当に素晴らしい)、そして、登場人物の「声」を代弁する味わい深い音楽……すべてが本当に美しい。
ただ、作中の含意、および現代に通じる寓意性を読み取るにはある程度のリテラシーが要求される。それでいて、そういった生々しい「リアル」な描写や出来事を御伽噺として包み込んでいる物語構造になっているから、困惑する人もいると思う。「どういうリアリティラインで見ればいいんだ」って。デル・トロの言うように、今作はまさに「大人のための御伽噺」なんだよね。
あ、あと、ストリックランドへの手話ファックが最高だった(笑)。大きい声じゃ言えないけど、アレ、練習してます。

ペータくん : ストリックランドは悪の役回りを背負ってます。

クロサキ  : 彼の家庭を見ると解るけど、彼の暮らしって、あの時代の、正に「アメリカン・ドリーム」なんだよね。彼の邪悪さは彼個人のものというより、アメリカという国の病理からきているものだと思う。あとは冷戦下における軍のマチズモ。
ペータくん : 彼も抑圧されている側であると。

クロサキ  : とはいえ、マイケル・シャノンを一種の「怪物」として描いていることも確か。デルトロ、『フランケンシュタイン』も撮るつもりらしいけど、マイケル・シャノンに怪物をやらせる気なんじゃないのかな。ところどころボリス・カーロフに見えたのは俺だけじゃあるまい。
ペータくん : ということは、ホエール版のリメイク?

クロサキ  : わからないけどね。でも個人的には、原作に忠実なものを作ってほしい。ホエール版はもちろん名作だけど、原作の持つ味わいや魅力を捉えた映像作品を観てみたい。かなり難しいと思うけど、デルトロ以上の適任者はいないと思う。
ペータくん : 今作、今のところ今年ベストワンですか?

クロサキ  : うーん……動物へのフェア視点。という面では『RAW』に軍配が上がるかな……視覚的な情報量の多い映画だし、もう一回観たら感想も変わるかもしれないけど。あと、良くも悪くも「濃い」作品だから、人によっては「クドい」「甘ったるい」と感じてしまうかもね。
ペータくん : 歯切れが悪いですね。

クロサキ  : 絶賛したい気持ち大きいからこそ、モヤモヤも大きくなってしまうというか……個人的な評価はちょっと保留で。
ペータくん : おいおい。
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レビュー ★★★★☆

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プロフィール

クロサキ

Author:クロサキ
以前はmorganeと名乗っていた惰弱。
なんてこたーない自堕落な日常を綴っていたがそれさえおぼつかず、ついには脳内キャラと対話をはじめた三十路手前底辺。
どうぞお気軽に閲覧、コメントなど。

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Author:ペータくん
哀れな管理人の脳内で解離した別自我。
管理人のロジャー・ディーンなアイコンとは一線を画すモダンデザイン。 冷静な突っ込みを入れるが所詮は同一人物なので、その知的レベルもお里が知れているという悲しい存在。
しかし、時折管理人とは真逆の考えを言うこともあるので油断は禁物である。

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