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久方ぶりの更新となってしまいました。

今作、ずっと楽しみにしていたのですが、期待以上の傑作でした!
以下、ネタバレなうえに思いっきりフィルマークスからの転載です。
先に内容を知っていたほうが良い面もある作品なのですが、個人的には前情報なしで見ることをオススメします。
2回観るか、映画→原作小説→映画の順で鑑賞するとより味わい深いと思いますよ~(上から目線)




観客の心に「愛」を贈る、詩情あふれるハードSF

「SF」と一口に行っても、その中にはさらに細かいジャンルが内包されている。
本作はいわゆる「ファーストコンタクトもの」に区分されるだろう。
同じく映画で挙げるなら『2001年宇宙の旅』『惑星ソラリス』『未知との遭遇』『コンタクト』などが名高い。
本作はこれらの作品にも全く劣らない、映画史に残る傑作だ。

人類とは姿かたちが全く異なる宇宙人と、いったいどうやって意思疎通を図るのか。本作では極めて実践的なアプローチが為される。
“それら”の言語を、コミュニケーションを通して学習していくのだ。
知的好奇心をくすぐられる内容だが、果たしてこれは、映画向きの題材と言えるだろうか?

原作はテッド・チャンによる小説『あなたの人生の物語』。100ページほどの中編で、ネビュラ賞を受賞している。
すでに名作の誉れ高いこの作品の映像化を任されたのはドゥニ・ヴィルヌーヴ。いま最も注目されている監督の一人だ。
なんといっても彼の次回作は、あの『ブレードランナー』の続編なのだから!

とはいえ、監督の前にまず、製作総指揮も務めているエリック・ハイセラーの脚色の話をすべきだろう。
原作小説は「何が起こったのか?」というより「何が行われたのか?」というプロセスを綿密に描いた作品であり、起承転結のある2時間の映画にまとめるには相当に巧みなアレンジが必要だ。しかし、ここが上手くいかなければすべてが瓦解する……
結果的にハイセラーは、原作の静謐な雰囲気と綿密なプロセスのなかに、エンターテインメントに相応しい緊迫感あふれるシークエンスを同居させることに成功した。
そしてヴィルヌーヴも、キャリア最高の演出でもってそれに応えたのだ。

映画にあって小説に無い要素は、映像と音である。ヴィルヌーヴはその二つの要素を使い「円環」のイメージを作中に散りばめた。
オープニングとエンディングで作品を包む『On the Nature of Daylight』、ルイーズが歩く病院の廊下、宇宙船の形状、そしてもちろん、ヘプタポッドの“表義文字”……
それらが指し示すのは、本作の「メッセージ」そのものだ。ヘプタポッドの文字は、時の流れに縛られた逐次的意識を超え、現在過去未来が一体となった同時的意識へと人類の思考を転換させるモノだった。ルイーズはヘプタポッドの言語を獲得することで人類の争いに終止符を打ち、世界を救う……

しかし、それは本当に喜ぶべきモノなのだろうか? ルイーズも含め人間は人間に過ぎない。ヘプタポッドから贈られた文字は意識を転換させるが、同時的意識――必然性の海に浸り続けられるほどに、人間を変容させるものではないだろう。
のちに彼女の夫となるイアンは、娘に訪れる未来に耐えられず、彼女たちのもとを去った。全てを知ったうえで娘を産むことを選択したはずのルイーズ自身も、喪った悲しみのあまり「帰ってきて」と懇願する……やはり、未来は知らないほうが「幸福」なのではないだろうか……その問いへの答えは、おそらく永遠に得られないだろう。
しかし、そもそも生命は死を約束された存在のはずだ。どんな人生にも孤独と死は分ちがたく結びついている。
……それは、人生が無価値であることの証明だろうか?

本作で、個人的にもっとも心を打たれたのは、ラストシークエンス直前でのルイーズとイアンのやり取りだった。

「これからのことが全てわかってしまうとしたら、どうする?」
「自分の気持ちを、もっと伝えようとするかも」

大切な人との未来が哀しみに沈むとわかっていても、愛することをやめられない。
たとえすべてが消え去ってしまうものだと分かっていても、愛する気持ちを打ち消すことはできない。

ヘプタポッドの贈りものは「永遠」への鍵だった。しかし、そこに在ったのは「虚無」ではない。
廻り続ける世界の美しさと、思い出の中で生き続ける「愛」を見出したとき、私たちはヘプタポッドの本当の贈りもの――「メッセージ」に気付くのだ。




一瞬と永遠をさまよう主人公ルイーズの内面は、喜びと悲しみと戸惑いが重なり合い、複雑な音色を上げている。それを全シーンに渡って自然に、静かに体現しきったエイミー・アダムス。
ルイーズは決して華やかな役柄ではないが、その姿には威厳すら漂っていた。名優のキャリア最高の演技に拍手を送りたい。


昨年の『この世界の片隅に』もそうだったが、本作は理想的な「原作もの」だと思う。どちらかが優れているというより、互いを鑑賞し合うことによって感動が呼応し、さらに味わい深くなる。
映画に感動した方は、原作と併せての鑑賞をおすすめしたい。


影響元の作品はいくつかあるだろうが、個人的には幸村誠の『プラネテス』を連想した。
未読の方にはこちらも併せておすすめしたい。


あ、唯一ネガティブな面で気になったのが、毒ガス探知に使われたカナリアのその後……基地に戻ったあと、どうなったんだろう?生きていると信じたい。
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クロサキといいます。以前はmorganeと名乗っておりました。
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