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レビュー

映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生


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ありがとう。本当にありがとう……!!

もう5年ほど前(!)になってしまいますが、色んな方々にオススメいただいて劇場版ドラえもん――「大長編ドラえもん」シリーズをイッキ見して以来、勝手ににわかファンを名乗っているのが、何を隠そう当ブログの管理人であります。

評判と期待に違わぬ傑作・良作ぞろいの大長編シリーズでありましたが、その中でも個人的にいちばん好きなのが1989年公開の第10作「のび太の日本誕生」なのです。

誰のものでもない土地を求め、原始時代にタイムスリップして楽園を作るというストーリー。
「花ぞのボンベ」「畑のレストラン」「動物の遺伝子アンプル&クローニングエッグ」という心躍るひみつ道具の数々。
タイムトラベラーとなった原始人の少年ククルと、のび太により産み落とされたペガ・グリ・ドラコという三匹のキメラ(管理人の変態嗜好によりあえてこう呼んでます)といった、歴代トップクラスに魅力的なゲストキャラたち……

そして、これはその5年前に見始めてから気づいたのですが、今作、どうやら記憶もおぼつかない小さい時にすでに観ていたらしいのですね。
大根がパカっと開いて中からカレーやスパゲティが出てくるシーンを観たときに「あっ!? これ見たことある!」と、想定外のノスタルジーに襲われまして。
その感覚が心地よく愛おしく……まあ、つまり後追いの思い出補正も加わり、いちばん好きな作品となったわけです。

しかし、人間「好き嫌い」と「良い悪い」は違うもので、一本の映画として観た場合にはこの「日本誕生」、シリーズ最高傑作とは言い難いのもまた事実。

誤解の無いように付しておくと、「日本誕生」は他の大長編シリーズと同じく、とても丁寧に作られている良作です。
基本的には、先立って執筆された原作コミックを忠実に映像化しているのですが、映像表現のためのアップデートが全編に渡って細やかに為されていました。
例えばざっと挙げると、
冒頭に映る滝が空からククルの村を見つけるときの目印になっていたり、ドラえもんが「ドラゾンビ」を名乗るのを決めたときにその頭のてっぺんを太陽で光らせて全能感を表現していたり、宴のときヒカリ族の長老が炎の前で祈りを捧げる構図がそのまま、終盤ギガゾンビが炎の前で祈りを捧げる構図と同じだったり、各所の台詞を変えてあったり……
これらの追加要素や改変はいずれも効果を上げていました。

しかし、丁寧な作りの作品であるからこそ、エンターテインメントとしての致命的な欠点が浮き立ってしまってもいた。
それは何か。
終盤の展開、ひいては――クライマックスが弱い!

ギガゾンビが倒される(事態解決の)決め手がタイムパトロールなのは、設定上ある程度は仕方ないでしょう。
でもそれにしたって、ドラちゃんはギガゾンビにあっさりやられたまま。ヒカリ族の人たちの武装蜂起もなし。のび太がペガ達と一緒に助けに来る展開は良いにしても、そのあとは結局地中に追い立てられた挙句閉じ込められてタイムパトロールの助けられ待ちじゃあ、観客はカタルシスを感じられないよ!
せっかく共通の境遇を通してのび太との絆が生まれたククルに関しても終盤はほとんどフェードアウトに近い扱いになっていたし、ラストシーンでのペガ達との別れのシークエンスもなんだか急ぎ足で……あのラストシーンは、夕日に照らされた原始日本の美しさと主題歌(時の旅人)の良さでなんだか誤魔化された印象が強い。というのが正直な感想でした。

そんな不満があったので、「日本誕生」のリメイク版が公開されたときは必ず劇場で観る!と、決めていたんです。
正直なところ、声優陣が交代してからの新シリーズにはどうしても抵抗があり、これまでのリメイク版は観ていないのですが、「日本誕生」だけは色んな意味で見届けなければいけないだろうと。

で、今日ついさっき観てきました。

前置きがたいへん長くなったので、今回の記事の本題「映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生」。管理人の評価をもう最初に書いておきますね。

大傑作でした

すごい! 何もかもが素晴らしい……!!
オリジナル版で感じた不満や物足りないところが漏らさず、しかもこれ以上ないほど効果的に補完されているだけでなく、さらにその先までテーマ性を推し進めている作り手の志の高さに、心底感服いたしました……!!

まず何を置いても嬉しかった&感動したのは、ゲストキャラの掘り下げ方。
上に書いたことと重なりますが「日本誕生」のゲストキャラはシリーズ中もっとも好きな面々だけに、終盤での扱いに不満やもどかしさがあったんですが、それがもう、完璧に補完されている。
ククルはのび太との友情と絆がより強調され、活躍も大幅に増えているし、物語上の役割もとても大きくなっている!
ペガ、グリ、ドラコたちとの交流も、全体の流れに違和感なく溶け込む形で追加され、別れのラストシーンも感動的に演出されている!
(あそこは夕日×走る。というシチュエーションも相まって「やりすぎ」と感じる人もいるかもしれませんが、オリジナルの段階からしてペガたちが映るたびに涙腺を刺激されていた自分としては、もう涙するしかありませんでした)

そして、VSギガゾンビの盛り上がりはもう、比べ物にならないぐらい熱い!!!
ドラちゃんのカッコ良さも、ククルの活躍も、ヒカリ族の武装蜂起もある!!!!

そして、今回誰もが思うことだとは思いますが、劇中のひみつ道具(&小道具)を使った伏線が抜群に上手い。
今回追加された「ドンブラ粉」と「犬笛」も良いけど(ククルの吹く犬笛の音色にペガが反応しているショットを入れてるのがさりげなく巧い!!)、オリジナルにもともとあった「通り抜けフープ」と「本物の石ヤリ」の使い方には心底シビれた……!!

さらに言うと(既に記したとおり)今作はキャラを掘り下げるシーンをいくつも追加している。
そしてそれらは例外なく、その後の展開に密接に関わっている。
つまり追加シークエンスも、後半のドラマを盛り上げる伏線として機能しているわけです。つくづく隙がない!

しかも、それらの伏線は独立したものではなく、いずれもきちんと物語に溶け込んでいる……要は、伏線それぞれの活かし方が単なるひけらかしになっておらず、すべては物語上の必然として融合しているんです。ここがスゴい。

小道具にしても追加シーンにしても、映像を派手にするためだけ&物語の流れを妨げるだけの小手先の足し算演出としてではなく、展開とともに鮮やかに回収されながら物語を厚く熱く加速させていく掛け算の演出として機能している。だから素晴らしいのです
(特に「犬笛」と「本物の石ヤリ」が、物語のエモーションやテーマ性と密接に関わっているのは言うに及ばず)
だから、終盤の展開は本当に手に汗握るし、盛り上がる。半端じゃないカタルシスがある。
アニメ映画でのラストバトルでここまで感動させられたのは「ヒックとドラゴン」以来かも。
オリジナルをネタに金を儲けようという安易な志では決して真似できない境地ですよ。


しかし、今作を傑作に押し上げた最も重要な追加要素は、ママとパパのエピソードかもしれません。
ママからのび太への思い。パパからのび太への思い。
まさかハムスターすら物語に活かすとは思ってもみなかったw

のび太が両親と自分自身の幻を見る改変シークエンス。

けっきょく君は、一人じゃなんにもできないんだよ

ちがう……僕はただ、試したかっただけなんだ……

もう寝ちゃいなよ。そのほうが楽になれるよ。

ククルを……助けに行かなきゃ……

そう、人間は一人じゃあまりにも脆弱。しかものび太は何をやってもダメなヤツ。
でも、そんなヤツにだってできることはあるはずだし、長所だってあるはず。
凍えて気を失う瞬間まで友達のことを気遣っていたのび太のもとに空から舞い降りてきたのは……

のび太という「ダメ人間」による挑戦と隠れた才能によって産み出された賜りもの、家出をしなければ出会えなかった素晴らしい存在である彼らが、他でもないのび太の優しさを称え証明するかのようなこの展開……泣くわ!ふつうに!
というか、旧版と展開自体は同じなのに、台詞を替えて伏線を効果的に使うことで、ここまで泣けるシーンになるとは……映画って面白いなぁ。

そしてもちろん、のび太の部屋で終わるあのラストシーン……!!
少年の家出――「行きて帰りし物語」として、なんて鮮やかな帰着!
ああもうすべてが……最後まですべてが素晴らしい……!


あと、細かいところに言及していくと、台詞に関してはなにげに新版のほうが原作コミックに忠実だったりするんですよね。
とはいえ新版は全体的にキャラがオーバーアクトしてたなぁ。とか。
ほかにも例えば、ククルが元気に動き回るオープニングがすごく良くて、ジブリもそうだけど運動神経抜群の子供がハツラツと動く様が生み出す躍動感はアニメーションの原初的な快楽を思い起こさせるよなぁとか、ギガゾンビの強化っぷりとか、ツチダマの造形の種類とか、タジカラさん(ククルの父ちゃん)にまで決め画を用意しているとは恐るべし!とか、ああああもう全部言っていきたいけどキリがない!!!!

あえて不満を言うなら、全体的にテンポが忙しない気がしないでもない。ククルが現代の山に落ちて目覚める瞬間とか、もっとじっくり映してほしかった……でもこれは再見したら気にならなそう。
あとはこれは無い物ねだりだけど、ジャイアンとスネ夫の決め画(通り抜けフープを後ろにギガゾンビを打つとこね)が追加されたぶん、しずかちゃんの決め画も欲しかった。さらに入浴シーンもあれば歴代大長編の伝統も押さえて完全無欠の一作になったのでは。とか……重箱の隅つつきですらないですね。ハイ。
あ、でものび太の部屋が狭くなってたのはなんかちょっとイヤだった。なぜかは自分でもよくわからないのですが。

それはともかく、

正直なところ、今年の劇場アニメは本国で大絶賛を受けているディズニーの新作「ズートピア」か、個人的にツボな要素満載っぽいピクサーの新作「アーロと少年」、やっと今年の夏に日本で一般公開されるらしい「Song of the Sea~海の歌」の競り合いだと思っていたのですが、今となってはこの「日本誕生」がベストに輝く以外は考えられない……
今回の「新・日本誕生」はディズニーやドリームワークスにだって負けてねぇ!!!

最愛の「日本誕生」がこれ以上ないほど素晴らしいリメイクに仕上がっていて、本当に嬉しい……!!
同監督の「大魔境」も必ず観ます!!
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レビュー

この記事へのコメント

- じた - 2016年03月19日 22:29:32

お邪魔します。「新・日本誕生」、本当に素晴らしかったですね。そしてmorganeさんのレビューで、言いたいこと大体言われてしまいましたw。そしてレビュー読みながら既に、あの吹雪のシーンが思い出されて鳥肌が立ってしまいました。本当にオリジナルの最も素晴らしいところを完全無欠に更によくして、足りない部分を補完した(個人的にはタイムパトロールendを、思いきって全改変したあの決断に感嘆しかしません)傑作としかいいようがない出来でしたね。絶対にもう一度見に行きたいと思います!

- 管理人 - 2016年03月24日 06:10:16

じたさん、こんにちは。
いやもう、いくら褒めても足りないほどの傑作でしたね……!

とはいえ自分「ギガゾンビは、ドラえもんがハンデ無しのタイマンを挑んでも勝てない全劇場版中最強の敵」という点に、じたさんのレビューを拝読してから初めて気づきまして……
これまで、その点を深く考えることをしないまま「追い込まれて助けられ待ちなんてカタルシスが無いよなぁ」なんてオリジナル版に対してボヤいていた自分が、急速に恥ずかしくなりました。

ギガゾンビが圧倒的に強いという前提(ドラえもんだけでは勝てないというオリジナルの設定)があるからこそ、今回それを再戦で見事に打ち破るドラえもんの「たかだか1世紀の違いなんて、みんなと一緒なら恐くなんかないんだ!!!」が名台詞として輝きを放つんですよね。
その真の輝きを、自分はその浅はかさから、知らず知らずのうちに曇らせてしまっていたようです。藤子先生にも八鍬監督にも申し訳ない……
気づかせてくれてありがとうございます……!!

ここ数日、劇中のシーンや台詞を脳内再生するだけで泣いてしまうという体たらくなので(しかも上記の件に気付いたいま、更に泣いているというw)、この症状を鎮めるためにも、自分も絶対にもう一度見に行きます!

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プロフィール

クロサキ

Author:クロサキ
クロサキといいます。以前はmorganeと名乗っておりました。
なんてこたーない自堕落な日常を綴っています。
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