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ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア


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天国じゃ、みんなが海の話をするんだぜ

以前から評判を聞いてはいたのですが「見よう見よう」と思いつつ先延ばしにしていた本作。相互リンクをさせていただいているあじぽんさんからオススメいただいたこともあり、とうとう鑑賞と相成りました。
(実は観てから既に2ヶ月ほど経っているんですが…)

個人的な感想を一言であらわすと、「世界一かっこいいおとぎ話」!

※以下、結末に触れています。

奔放なマーチンと内向的なルディ。正反対の性格である彼らは、同じ日に、同じ病院で、余命わずかと宣告され同じ病室をあてがわれて知り合う。
夜、病室を抜け出し、病院の厨房でレモンを片手にテキーラをあおる二人。

電灯の僅かな明かりを鈍く照り返すステンレスに囲まれた無機質な空間には、鮮やかな黄色い果実が無数に散らばり、余命幾ばくもない二人の男が熱い酒をあおっている。
観客を映画に引き込むシュールで美しい画。

海を見たことがないと告白するルディにマーチンは薄く笑う。
「天国じゃみんなが海の話をする。お前は話には加われないな。」
前途がないことからくるやけっぱちか、単に酔っぱらっていただけかもしれない。少なくともその時点では、二人に明確な決意が芽生えていたわけでないと思う。
しかしとにかく二人は病院を抜け出した。海を目指す。誰のものともしれないベイビーブルーのベンツに乗って、人生最後の旅へ。

本作は男同士の友情と絆を描いたロードムービー。最近アメリカで流行中のブロマンスものとも定義できるでしょう。
実は(というか劇中では同時進行で説明されるのですが)二人が病院の駐車場で盗んだベンツは、現金輸送中のギャングのもので、二重の追っ手がかかってしまう。目的地への旅に加えて、逃走劇・アクションとしての要素も全編にわたって展開されるというエンターテイメントとして申し分のない作りになっています。
そして、今作の大きな魅力となっているのが随所に挟まれる笑いどころ、コメディの部分。
設定を活かし、なおかつドラマとアクションの流れを妨げないユーモアのセンスをもった作り手というのは大変貴重。
そして今作、ギャングと警察に追われての三つ巴であれだけ暴れておきながら、なんと死者ゼロ。死なないだけでなく、脇役に至るまで全員誠実にかつ魅力的に描かれている。
大衆に愛される名作映画というのは、テーマ如何に関わらず、えてしてそういった作り――様々なジャンルが複合的に内包され違和感なく溶け合い、笑いどころもキッチリと押さえられていて、登場人物がみんな魅力的――になっています。
国内で例を挙げるなら、黒澤明と宮崎駿の全盛期の作品を観ればわかっていただけると思います。
しかし実際に名作の称号を与えられるには、それらの要素を満たしたうえで、その映画のカラー。他の作品とは違う独自性が必要になる。

本作のキーとなるのは、「難病もの」という設定・要素。
(一部の邦画にあるような、感動を押し付けるだけの下品な作品とは違う――といったことは言うまでもなく、そのような論旨展開をする気もないので、こうして付すだけにしておきますが)
それによって本作は、万人にオススメできる優れたエンターテインメントでありつつも、一筋縄ではいかない芸術性をも併せ持った作品となっています。
それは、全編に漂うなんともいえない浮遊感。どこか幻想的な雰囲気。

死を間近にして何も恐れることがないルディとマーチンの旅。
逃走劇の中で、二人がそれぞれの「夢」(その多くは観客の夢でもある)をやりたい放題の方法で実現していく爽快感。
その一方で、二人のすぐ傍で息を潜めている非情な「現実」――「死」の匂いから漂う空虚さや絶望感。
このアンビバレントさが生み出す、なんとも言えない幻想性…魔法のような上映時間。
この映画はたぶん、二人が天国の扉へ行き着くまでの、天国への階段を登る一段一段、一瞬一瞬を見せてくれているのだと思う。
天上から見る現世はどこか可笑しく、不思議で、優しくて、そして愛おしい。

そして海辺のラストシーン。
あの美しさは他のどの映画にも無い。
数多ある映像作品の中で本作が「オリジナル」への高み、唯一無二の領域へ到達したことを証明する永遠のシーン。

要は本作は、最初に書いたとおり「世界一かっこいいおとぎ話」であり――紛れもない名作であるってことです。


That long black cloud is comin' down
I feel like I'm knockin' on heaven's door.

あの長い黒雲がたれさがってくる。
おれは、天国の扉をたたいているみたいだ。


Knock, knock, knockin' on heaven's door
Knock, knock, knockin' on heaven's door

ノック、ノック、天国の扉をたたいている
ノック、ノック、天国の扉を、たたいている

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Author:クロサキ
クロサキといいます。以前はmorganeと名乗っておりました。
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