おとうさんとぼく


father&sun

お家にあるおもちゃをねだる男の子。お父さんは頑なに「ダメ!」と撥ねつける。
いつもは元気な男の子も二度三度と言われるうちに泣き出してしまう。
やっとおもちゃを渡すお父さん、男の子は涙を流しながら笑顔を見せる。でもお父さん、まだとってもこわい顔をしてる。
こわい顔のまま、鏡の前にたつお父さん。なんと、しつけ用のムチを取り出して自分のお尻を叩き始めちゃった!
意固地になりすぎたのを反省していたんだね。

こどもをしつけようとするけれど、いつの間にか子供以上に遊びに夢中になってしまうお茶目な「おとうさん」。
やんちゃでいたずら好きだけど、ちょっと泣き虫な「ぼく」。
そんな二人の日常がほとんどコミカルに、ときにはファンタジックに優しく描かれたドイツの漫画作品。1934年12月に新聞で連載が開始された。
非常にシンプルな、しかしヨーロッパならではの味わい深い線。1~2ページの連作短編で、台詞もほとんどないから、本当の意味で読む人を選ばない。絶版になっているのが本当に惜しい名作だ。

どれも本当に味わい深いものばかりだけれど、個人的に特にお気に入りなのは、冒頭に書いた「反省」と、もう一編「プレゼントありがとう」。どちらも、泣きたくなるほどの愛おしさと優しさにあふれた名短編である。また、ほほえましいだけでなくシニカルな話も多い。二人が犬と遊んでいたら通行人が自分も犬と遊ぼうと川にステッキを投げると犬が全く反応しなくて、自分で泳いで取りに行くハメになった「知らないよ」。魚を獲ったものの捌くときになって男の子が泣き出してしまい元の川に放流したらあっという間にほかの魚に食べられてしまった「自然の法則」などなど。ほのぼの系なら、動物たちとクリスマスを過ごす「クリスマス・パーティ」もいい。

4コマで構成された「えもの」も忘れがたい。
森でウサギを発見した男の子は猟銃を持ったお父さんを手招きする――1コマ目。
お父さんがウサギを猟銃で上手いこと仕留めて男の子が喜ぶ――2コマ目。
けれど次の3コマ目では血を流して横たわっているウサギを見下ろしている二人になり、最後のコマでは二人は泣きながらウサギを持ち帰っていく。涙と血が同時に滴る画に何とも言えない気持ちになった。
いつもはいたずら好きな二人が見せる優しさが愛おしい(でも2巻ではわりと普通にギャグテイストで動物殺して食べたりしちゃっているけどもw まあ、当時のことを考えればしょうがないと思う)。

また岩波少年文庫版だと、一巻に収録されている上田真而子さんによるあとがきが素晴らしい。著者の人生に胸を打たれた。
ナチス政権下で愛国心と政権への嫌悪感で板挟みになりながら漫画を描き続けてきたプラウエンの抵抗の軌跡は伝記として語り継がれるべきだと思う。
獄中で自死した彼が妻のマリガルトに遺した「息子――クリスチアンを人間に育ててくれ」という言葉に込められた願いの重さと大切さを、私たちはこの「おとうさんとぼく」で楽しく実感し、美しく思い出すことができる。

騒々しくてお間抜けで、いつも楽しく、ときには涙を流して……「人間」への理想と愛情が込められた芸術として、これからもずっと語り継がれるべき作品である。

レビュー ★★★★☆

『聲の形』に思う、自分が「許せない」もの


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先日、映画版『聲の形』を観まして、原作漫画を読み返していました。
映画はたいへんよくできていて、とても良い意味で「別物」になっていたと思います。
山田尚子監督の繊細すぎるぐらい繊細な演出の数々、全7巻ある漫画を2時間にまとめ上げた吉田玲子さんの脚本の凄さ、声優陣の熱演……
(それと、自分は恥ずかしながらほとんど気づかなかったのですが音楽の演出もとても細かいらしいので、もっかい見返したいですね)

そして何より!

結弦が超可愛かった

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作画:京アニ CV:悠木碧 というトンでもないジェノサイダーです。
というか悠木碧さんて、ここまで低い声も使いこなせるんですね。
『マイメロ』の琴ちゃん、『紅』の紫、『まどマギ』のまどかを十代で演じ切っていた時点で「この子は天才だ!」と思っていましたが、早熟に終わらず順調にベテランの道を歩んでいるようで何よりです。

閑話休題(いやホントなら、結弦の画像だけ貼ってこの記事を終わらせたいのは山々なんですけども)、

漫画版も読み返して「やっぱりよく出来た作品だなぁ」と改めて思ったのですが、初めて読んだ時のモヤモヤが再燃もしまして、そのモヤモヤをブログにでも書いて晴らしておくか。と思った次第です。

この『聲の形』という作品に触れて「モヤモヤ」を覚えるのは自分だけじゃないと思います。
扱っている題材が生々しいうえに登場人物たちも一筋縄ではいかないメンツが揃っているので、不快な描写や嫌いなキャラクターが、受け手によって異なってくる作品でしょう。
受け手がそれぞれ歩んできた人生や持っている価値観を引き合いに出して語らざるを得ないというか……
そんな作品を少年誌という媒体で成功させてしまった。それが漫画『聲の形』が優れている点であり、問題作であるゆえんだと思います。

じゃあ、管理人の嫌いなキャラは誰なのか?

自分がこの作品で「嫌い」なキャラは植野直花です。
以下、なぜ自分が彼女のことを「嫌い」なのか、順を追って探っていこうと思います。

以下、漫画版の終盤の展開に触れています

レビュー

最近読んだ漫画

どれもこれも、実写化している作品です。
ドミーハーです。罵ってください。


「ちはやふる」

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今さら読み始めて、大いにハマっております。
雑な例えですが、「少女漫画と少年漫画のハイブリッド」という印象。
競技かるたの面白さと苛烈さを描きつつ、大江さんのような「かるたが歌であることを忘れたくない」と、物事の意味や背景にこだわる想いを持ったキャラクターにも比重を置いている細やかさと多面性がすごく良い。
そういった点を作中で見るにつけ「この作者って大人だなぁ」と、しみじみ思います(良い意味で)。
実写版の評判も高いですが、広瀬すずがちょっと苦手なので(たいへん才能のある女優さんだとは思いますが)、レンタルで鑑賞予定であります。

ちなみにですが、何を隠そう管理人、中学の時に国語の授業でやった百人一首では学年では有数の強さを誇っておりました。
生まれながらの出来の良さ――才能とかセンスとかとは基本無縁の人生を送っている管理人としましては、ちっぽけだけども、思春期の輝きの一つであります。
……とはいえ最近は、当時のことを思い出すと、ちょっと落ち込んでしまう傾向もありまして……
というのも、そういった驕り(大して努力もしてないのにそれなりの強さがある自分への陶酔)を矯正せずヘラヘラしていたせいで、待ちに待った学年総合大会では、その大会でチャンピオンとなるHさんにコテンパンにされてベスト4にさえ残れなかったのですよ。
Hさんが圧倒的に強かった(決勝戦でも余裕で勝ってた)ことは置いとくとしても、自分のだらしなさ、具体的・計画的な努力をしようと思わない意識の低さは、今でも変わらないなぁ……とつくづく情けなくなってしまって……
「ちはやふる」の面々を見習って、少しでも矯正していきたいものです。


「溺れるナイフ」

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完結から数年、やっと全巻読みました。 これは実写化関係なく読んでいたのですが。
三十路も近いというのに、10代の自意識を描いた漫画に共感しまくっている自分が悲しいやら、でもちょっと愛しいやら(←だからダメなんだよ!)。
ジョージ先生には、ぜひとも竜太のスピンオフを短編で描いていただきたい。作中の男キャラで、絶対一番将来有望だよ!!

で、実写映画のほうは小松奈々が夏芽演じると。
正直、夏芽はもうちょっと派手な顔立ちのイメージだったけど、妥当なキャスティングなんじゃないでしょうか。上白石萌音のカナはピッタリだと思う。


「アイアムアヒーロー」

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18巻まで読みました。
ようやく真相らしいことが明かされてきましたが「GANTZ」と被ってねぇかコレ。

実写版見ましたが、そっちの感想は次の記事で。


レビュー

萩尾望都作品集をゲットしました

いやー、ゴールデンファッキンウィークも過ぎ去りまして……皆さま、いかがお過ごしでしょうか?

世間様ほどではないとはいえ管理人も、職場の人手不足もあって、なかなかに忙しい日々でございましたが、最近やっと落ち着いてきましたです。

そんなわけで、やっとこちら ↓ に落ち着いて取り掛かれそう

hagio k

萩尾望都先生がデビューした1969年から1985年頃までの短編・長編をまとめた作品集です。
赤い装丁のものが第Ⅰ期(1969~1976年)で、グラデーションっぽいのが第Ⅱ期(1977~1985年)となっています。

管理人は恥ずかしながら、漫画はリアルタイムの流行りモノしかこれまで読んだことがなくて、昭和期に活躍された方々の作品にはほとんどノータッチで成人を迎えてしまったのですが……映画もそうですけど、スゴいものはやっぱり、いつ読んでもスゴい。

先月に某オクで手に入れて超ハッピーだったのに、読む時間がほとんど取れないのともったいないのとで、まだ10巻までしか読めていないのですが(泣)

しかしまあデビュー作から、どれもこれも本当にレベルが高い……

萩尾先生との出会いは、先生がキャラクターデザインを手がけたクインテットのゲーム「ガイア幻想紀」(サントラ出して!アーカイブスも!)が最初なのですが、正直その時は「いかにも昔の少女漫画って感じの絵柄だなぁ」ぐらいしか思わず、名前だけおぼろげに覚えていた程度でした(バカだったんです。ごめんなさい)。
しかし、その数年後に読んだ小野不由美先生の「屍鬼」に衝撃を受け、主上が参考作品として挙げていたのがきっかけで単一の作品――「ポーの一族」を読み……完全に圧倒されたわけです。ハイ。

美麗な画とあまりにも緻密な構成。読者の感情を揺さぶり憧憬を起こさせる詩的なモノローグの数々。
作風の幅広さと演出力を支えているであろう、全貌はわからないけれど広く底知れないということだけは伺える教養の深さ……
それらでもって一ページ一ページ繊細なコマ割で埋め尽くすものだから、どの作品も、内容がおそろしく濃ゆい。

管理人が最初に完全に白旗を挙げたのが、「ポーの一族」中で3番目に発表された「グレンスミスの日記」。
20世紀のはじめ(1900年)にドイツの音楽家と駆け落ちしたイギリス貴族の令嬢エリザベスが、二回の大戦によって夫や娘、孫を失い、時の流れと時代の不幸に翻弄されながらも一代を築く。という物語を、永遠に年を取らないバンパネラへの憧憬を交えながら短編として描いている作品なんですが……
これつまり、ある女性の一代記(一生)を、短編で描ききってしまっているわけですよ。それも、たった24ページで!
その内容の濃さと充実度たるや、並みの漫画の単行本5冊分ぐらいの重量感を覚えましたよ。

さらにその後、「グレンスミスの日記」を発表した当時の萩尾先生がまだ23歳だったことを知り、またさらに衝撃を受け……
作者の年齢を引き合いに出すのはあまり好ましくないかもしれませんが、萩尾先生に限っては、年齢に比してあまりにも作品が優れていた。

若さに比して技術も知識もセンスもスゴい作家はどのジャンルにも少数ながら常にいて、そういった人達は「天才」と呼ばれます。
だけど萩尾先生は、その枠にすら収まりきらないと思う。

どれだけの天賦の才――ベテラン並の技術力・幅広い知識・抜群のセンスを持っていたとしても、作者は、自身の年齢に比した感性を超えることは、ふつうできない。
「グレンスミスの日記」だけでなく、20代前半で発表したほかの作品――「ビアンカ」「雪の子」「秋の旅」に関しても言えることだけど、20代の感性で生み出せる作品とは到底思えない。
彼女の教養の深さと、達観し卓越した視点のすごさは、単に「頭がいい」とか「大人びてる」とかいうレベルの言葉では説明できないのです。
だけど、紛れもなく存在している。
それでいて、萩尾先生の作品は、老練という言葉で賞賛するにはあまりにみずみずしい。
そして――このことが一番すごいと思うのですが――どれだけ舞台や題材が国境とジャンルを超えていようとも、それらの内容においてどれだけ深く高尚なものが描かれていようとも、どの作品も紛れもなく「少女漫画」なんです。
そのことの凄さと偉大さ、その存在の奇跡に、自分のような凡夫は、ただただひれ伏すしかない。

さらに恐ろしいことを付け加えると、現在に至るまで現役であらせられる萩尾先生の新作は、なんと「ポーの一族」の新作のようです。
「寄生獣」のスピンオフまで描いてしまって、モー様はいったいどこへ行ってしまうのでしょう?
自分も遅ればせながら、これからせっせとついて行きたいと思います。


目ざめよ神話
ぼくたちは時の夢

昔がたりと未知への畏怖が
ぼくらの苗床
ぼくらの歌

わかっているね
ぼくたちが
なに者かこれから
どこへゆくのか

早く
目をおさまし
早く

永遠を駆ける
馬車が出る


「ポーの一族」の「ペニー・レイン」より抜粋。 レビュー

アマリリス


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人は皆、息をする。
与えられた世界の中で。


この美しいキャッチを、作品を読み終わったあとに扉絵とともに見返すと・・

「サムライうさぎ」「月・水・金はスイミング」の福島鉄平先生の最新作。
現在最新号の「ミラクルジャンプ」に掲載されているのですが、品薄でなかなか手に入らず、先日ようやっと読みました。
いやもうね、とりあえず感想を一言書きますけどね。





※以下、内容に触れています!
レビュー
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プロフィール

クロサキ

Author:クロサキ
以前はmorganeと名乗っていた惰弱。
なんてこたーない自堕落な日常を綴っていたがそれさえおぼつかず、ついには脳内キャラと対話をはじめた三十路手前底辺。
どうぞお気軽に閲覧、コメントなど。

Relief with water
Amazonでのマイストア。ご来店お待ちしております。

プロフィール2

Author:ペータくん
哀れな管理人の脳内で解離した別自我。
管理人のロジャー・ディーンなアイコンとは一線を画すモダンデザイン。 冷静な突っ込みを入れるが所詮は同一人物なので、その知的レベルもお里が知れているという悲しい存在。
しかし、時折管理人とは真逆の考えを言うこともあるので油断は禁物である。

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